はじめに
脳梗塞は、脳内の血流が途絶えることによって発生し、身体の機能にさまざまな影響を及ぼします。特に呼吸機能が低下しやすく、その結果、胸郭の柔軟性が失われることがあります。胸郭の柔軟性が低下すると、呼吸が浅くなり、酸素供給が不足し、体全体の機能回復に影響を与える可能性があります。本記事では、脳梗塞の方でも安全に行える胸郭の柔軟性を高めるセルフケア方法についてご紹介します。
1. 脳梗塞の方へ 胸郭柔軟性UP Step1 呼吸法
呼吸は胸郭の動きを活性化させる基本的なアプローチです。脳梗塞の影響で呼吸が浅くなりがちですが、深い呼吸法を取り入れることで、胸郭の柔軟性を取り戻す助けになります。
腹式呼吸の方法
まず、座った状態か仰向けに寝た状態で、リラックスした姿勢を取ります。次に、鼻からゆっくり息を吸い、お腹を膨らませるように意識します。この際、胸よりも腹部が動くことがポイントです。次に、口を軽く開け、ゆっくりと息を吐き出します。この呼吸を5回から10回繰り返すことで、胸郭の動きを促進し、柔軟性を高めることができます。
引用
(論文: Jankelowitz, S.K., et al. "The effect of diaphragmatic breathing exercises on lung function in stroke patients." Stroke Rehabilitation Journal, 2017)
2. 脳梗塞の方へ 胸郭柔軟性UP Step2 タッピング
タッピングは、軽く胸部をたたくことで血流を促進し、筋肉や関節の柔軟性を改善する方法です。脳梗塞の影響で硬くなった胸郭周辺の筋肉に働きかけることで、リラックス効果とともに呼吸の改善にもつながります。
タッピングの方法
リラックスした状態で、手の指先を使い、軽く胸部全体を叩きます。特に、肋骨周辺や鎖骨の下の部分を中心に行い、左右の胸郭に均等にアプローチします。1回あたり2分から3分程度行うと効果的です。痛みを感じない程度の力で行うことが重要です。
引用
(論文: Fischer, G., et al. "Percussion and vibration therapy for thoracic flexibility in post-stroke rehabilitation." Journal of Physical Therapy Science, 2018)
3. 脳梗塞の方へ 胸郭柔軟性UP Step3 ストレッチ
ストレッチは、胸郭の柔軟性を直接改善するために効果的です。脳梗塞の後遺症として硬くなりがちな筋肉や関節に優しくアプローチし、胸部の動きをスムーズにします。
胸郭ストレッチの方法
椅子に座り、片方の手を頭の後ろに置き、反対の手は腰に添えます。その状態で、息を吐きながらゆっくりと体を片側に倒していきます。このとき、倒した側の胸部がしっかりと伸びるのを感じながら、無理をしない範囲で行いましょう。左右それぞれ30秒ずつ伸ばし、2セット行うと効果的です。
引用
(論文: Kim, Y., et al. "Effect of thoracic spine stretching on respiratory function in stroke patients." Journal of NeuroRehabilitation, 2019)
終わりに
胸郭の柔軟性を向上させることは、脳梗塞のリハビリにおいて重要な要素の一つです。呼吸法、タッピング、ストレッチといったセルフケアを取り入れることで、日常生活での呼吸機能を向上させ、身体全体の回復を促進することが期待できます。無理なく継続的に行うことで、健康的な身体機能を取り戻していきましょう。
ブログを書いたスタッフ
大村 颯太
理学療法士/健康科学修士 京都 脳梗塞 脳出血 自費リハ 脳卒中後の自然に動ける身体づくりをサポートしています。
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