脳梗塞の方へ 脚のむくみについて
大村 颯太

脳梗塞の方へ 脚のむくみについて

はじめに

脳梗塞を経験された方々にとって、脚のむくみ(浮腫)は非常に一般的な問題です。この浮腫は、歩行や日常生活の動作を困難にするだけでなく、さらなる健康リスクを引き起こすこともあります。今回は、脳梗塞後に発生する脚のむくみの原因、デメリット、そしてその対策について解説します。

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1. 脳梗塞の方へ 脚のむくみ 原因

脳梗塞後の脚のむくみは、以下の要因により引き起こされます。

  1. 麻痺による筋ポンプ作用の低下 脳梗塞後、片麻痺の症状があると、脚の筋肉が十分に収縮しなくなります。通常、歩行やふくらはぎの筋肉の動きは静脈血を心臓へ押し戻す役割を果たしますが、麻痺があるとこの機能が低下し、血液が脚に溜まりやすくなります。
  2. 血液およびリンパ液の循環不全 脳梗塞により、血液循環が全身的に影響を受けることがあります。血管やリンパ系の機能が低下すると、脚部に滞った血液やリンパ液がうまく排出されず、浮腫が発生します。
  3. 長時間の不動状態 脳梗塞後、患者様が長時間ベッドに横たわっていることが多く、これにより脚の筋肉の動きが制限されます。その結果、血液やリンパ液の流れが悪化し、むくみが発生しやすくなります【10†source】。
  4. 静脈弁機能の障害 脳梗塞後の脚のむくみは、静脈弁機能の低下による静脈還流不全が原因となることもあります。特に、深部静脈血栓症(DVT)のリスクが高まることで、むくみが顕著になるケースもあります。

2. 脳梗塞の方へ 脚のむくみ デメリット

脳梗塞後の脚のむくみには、以下のようなデメリットがあります。

  1. 疼痛や重だるさの発生 むくみが続くと、脚に痛みや重だるさを感じることがあります。特に足首やふくらはぎ周辺に強い圧迫感を感じると、歩行能力が低下し、日常の移動に困難をきたします。
  2. 歩行機能の低下 むくみによって脚が重く感じることで、バランスが取りにくくなり、転倒のリスクが高まります。これにより、運動機能のさらなる低下を招き、回復プロセスにも悪影響を与えます。
  3. 皮膚トラブルや感染症のリスク むくみが慢性的に続くと、皮膚のバリア機能が低下し、細菌やウイルスに対する抵抗力が弱まります。その結果、皮膚炎や蜂窩織炎(ほうかしきえん)などの感染症が発生しやすくなります【10†source】。

3. 脳梗塞の方へ 脚のむくみ 対策

脳梗塞後の脚のむくみを軽減するための対策は以下の通りです。

  1. リハビリテーションと運動療法 患側の脚を意識的に動かし、筋肉のポンプ作用を回復させることが重要です。ふくらはぎの筋肉を鍛える運動や、脚の上下運動を行うことで、血液循環を改善し、むくみを予防できます。また、リハビリの専門家と連携し、個別に適した運動プログラムを作成することも効果的です。
  2. 弾性ストッキングの着用 医療用の弾性ストッキングを着用することにより、静脈血やリンパ液の流れをサポートし、むくみの軽減に役立ちます。弾性ストッキングの圧迫レベルや適切な着用時間は、医師または専門家の指導を受けて選択してください【10†source】。
  3. 足の挙上と体位変換 むくみがひどい場合は、定期的に脚を心臓より高い位置に上げることが効果的です。また、長時間同じ体位を続けることを避け、体位変換を行うことで、脚部の循環を改善しむくみを防ぐことができます。
  4. 水分と塩分の管理 適切な水分摂取と塩分管理は、むくみの予防において重要です。過剰な塩分摂取はむくみを悪化させるため、塩分摂取量を見直し、必要に応じて栄養士のアドバイスを受けることをお勧めします。

終わりに

脳梗塞後の脚のむくみは、多くの患者様が経験する不快な症状ですが、適切な対策を講じることで軽減することが可能です。日々のリハビリや生活習慣の見直しを行い、むくみを予防・管理していきましょう。また、むくみが悪化したり、他の症状が現れた場合は、すぐに専門家に相談することが重要です。自分に最も適した方法を見つけながら、快適な生活を取り戻しましょう。


引用文献:

  • 「Shiga Stroke Registry」

ブログを書いたスタッフ

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大村 颯太

理学療法士/健康科学修士 京都 脳梗塞 脳出血 自費リハ 脳卒中後の自然に動ける身体づくりをサポートしています。

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