はじめに
脳梗塞後に発生する手のむくみ(浮腫)は、多くの患者様が経験する症状の一つです。この浮腫は、日常生活に不便をもたらすだけでなく、症状が悪化すると他の健康リスクをも引き起こす可能性があります。今回のブログでは、脳梗塞後に手のむくみが発生する原因、デメリット、そして対策について詳しく解説していきます。
1. 脳梗塞の方へ 手のむくみ 原因
脳梗塞後の手のむくみは、主に以下の要因によって引き起こされます。
- 麻痺や運動不足 脳梗塞後に麻痺が生じると、患側の手や腕の動きが制限され、筋肉のポンプ作用が低下します。これにより、血液やリンパの流れが滞りやすくなり、浮腫が発生します(「Shiga Stroke Registry」)。
- 血流およびリンパ液の停滞 脳梗塞は血管やリンパ系の機能にも影響を与え、手の血流やリンパの流れを妨げることがあります。これにより、特に長時間同じ姿勢を取ることによってむくみが生じやすくなります。また、血管内の凝固作用や繊維素溶解系の変化も浮腫の発生に関係していることが指摘されています(「Changes in the Coagulation and Fibrinolytic System of Patients with Subarachnoid Hemorrhage」)。
- 関節の不動 手や指、手関節の可動域が制限されると、局所的な血流やリンパの循環が悪化し、浮腫の原因となることがあります。特に、リハビリが不十分な場合や手指を動かさない期間が長くなると、この症状が発生しやすくなります(「Shiga Stroke Registry」)。
2. 脳梗塞の方へ 手のむくみ デメリット
脳梗塞後の浮腫は、以下のようなデメリットをもたらします。
- 疼痛の発生 むくみが長期間続くと、皮膚や筋肉が圧迫され、痛みが生じることがあります。この痛みは、手指や手首の関節にまで広がることがあり、日常生活をさらに困難にします(「Shiga Stroke Registry」)。
- 日常生活の制限 手のむくみは、細かい作業や基本的な動作(例:物をつかむ、ボタンを留める)を困難にし、日常生活の質を低下させます。特に片手での操作が必要な場合や、介護者のサポートがないとできない動作が増えるため、生活の自立度に影響を与えます(「Shiga Stroke Registry」)。
- 慢性炎症のリスク 長期にわたるむくみは、組織に慢性炎症を引き起こし、皮膚の硬化や線維化を進行させることがあります。こうした状態が悪化すると、浮腫が恒常的になり、治療が難しくなるため注意が必要です(「Changes in the Coagulation and Fibrinolytic System of Patients with Subarachnoid Hemorrhage」)。
3. 脳梗塞の方へ 手のむくみ 対策
脳梗塞後の手のむくみを軽減するためには、以下の対策が効果的です。
- 定期的な手の運動やリハビリテーション 患側の手や腕を意識的に動かし、血液やリンパ液の流れを促進することが重要です。特に、手のグーパー運動や関節の可動域訓練を行うことで、むくみを軽減する効果があります(「Shiga Stroke Registry」)。
- 手を心臓より高い位置に保つ むくみがある場合は、手を心臓よりも高い位置に保つことが有効です。例えば、寝るときには腕をクッションなどで支えることで、重力を利用して血流の改善を図ることができます。
- 弾性包帯や圧迫手袋の使用 弾性包帯や圧迫手袋を使用することで、静脈およびリンパの流れをサポートし、むくみの軽減に役立ちます。ただし、正しい使用方法や締め付けの強さは専門家の指導を受けることが推奨されます(「Changes in the Coagulation and Fibrinolytic System of Patients with Subarachnoid Hemorrhage」)。
- 水分管理と栄養管理 水分の摂取量や塩分のバランスを考慮した栄養管理も重要です。過剰な塩分摂取はむくみを悪化させるため、適度な塩分量を守ることが浮腫の予防につながります。
終わりに
脳梗塞後の手のむくみは、日常生活に多くの不便をもたらしますが、適切な対策を講じることでその影響を軽減できます。日々のリハビリテーションや生活習慣の見直しを行い、浮腫の予防・管理に努めましょう。また、専門家の指導を受けながら、自身に最も適した対策を見つけることも大切です。今後も継続的に取り組むことで、手の機能を最大限に引き出し、快適な生活を目指しましょう。
引用文献:
- 「Changes in the Coagulation and Fibrinolytic System of Patients with Subarachnoid Hemorrhage」
- 「Shiga Stroke Registry」
ブログを書いたスタッフ
大村 颯太
理学療法士/健康科学修士 京都 脳梗塞 脳出血 自費リハ 脳卒中後の自然に動ける身体づくりをサポートしています。
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