脳梗塞の方へ ミラーセラピーの効果について
大村 颯太

脳梗塞の方へ ミラーセラピーの効果について

はじめに

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脳梗塞の後遺症として、手や腕の運動機能に障害が生じることがよくあります。こうした機能障害の改善において、リハビリテーションの手法として注目されているのが「ミラーセラピー(Mirror Therapy)」です。ミラーセラピーは、簡単かつ低コストで実施できる方法であり、近年、多くの研究でその有効性が確認されています。今回は、脳梗塞後のリハビリとしてのミラーセラピーについて詳しく見ていきます。

1. 脳梗塞の方へ ミラーセラピーとは

ミラーセラピーは、健康な手や腕の動きを鏡に映し、あたかも麻痺した側の手や腕が正常に動いているかのように見せることで、脳に錯覚を与えるリハビリ技法です。具体的には、麻痺していない側の手や腕を動かし、その動作を鏡に反射させることで、脳の運動野を活性化させます。この視覚的フィードバックは、脳に「麻痺した手が動いている」と信じ込ませ、運動機能の回復を促す効果があるとされています。

2. 脳梗塞の方へ ミラーセラピー 手のリハビリ

特に脳梗塞による手の麻痺に対して、ミラーセラピーは有効なリハビリ法として用いられています。通常のリハビリで麻痺側の手を動かすことが難しい場合でも、ミラーセラピーは視覚的に健側の手を麻痺側の手と見立てて動かすことで、脳内の運動イメージを強化し、運動野を刺激することができます。また、ミラーセラピーは感覚障害や痛みの緩和にも効果があるとされ、手の機能改善にとどまらず、感覚や痛覚の回復にも寄与することがわかっています。

3. 脳梗塞の方へ ミラーセラピーのメリット

ミラーセラピーの最大のメリットは、簡単に始められることです。特別な機器を必要とせず、家庭でも実施可能な点が大きな魅力です。また、麻痺が重度の場合でも効果を発揮することが報告されており、リハビリの初期段階から取り入れることができます。さらに、他のリハビリ手法に比べて低コストであり、患者さん自身や介護者も扱いやすい点が評価されています。

研究では、ミラーセラピーを取り入れたリハビリが、麻痺した手や腕の運動機能の回復だけでなく、感覚の改善や注意障害(視空間無視)の軽減にも効果的であるとされています。視覚的なフィードバックが脳の可塑性を促し、麻痺側の手の運動イメージを形成しやすくするため、脳内の神経回路を再編成するのに役立つと考えられています。

終わりに

脳梗塞後のリハビリにおいて、ミラーセラピーは効果的かつ実施しやすい方法として広く推奨されています。家庭でも取り入れやすいため、日常生活に組み込みながら、継続的に実施することが重要です。特に、麻痺の重い患者さんやリハビリの初期段階では、他の方法と併用することで相乗効果が得られるでしょう。脳梗塞リハビリの選択肢として、ミラーセラピーを積極的に活用し、機能回復を目指しましょう。

【引用文献】

  • Mirror Therapy in Stroke Rehabilitation: Current Perspectives. PubMed. 2020. 【33】。

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大村 颯太

理学療法士/健康科学修士 京都 脳梗塞 脳出血 自費リハ 脳卒中後の自然に動ける身体づくりをサポートしています。

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