大村 颯太

脳梗塞の方へ 全身性炎症⑤ 改善ポイント 食事・運動・電磁波・お注射に注意

はじめに

脳梗塞からの回復には、リハビリテーションと医療ケアだけでなく、生活習慣の改善が重要な役割を果たします。特に、慢性炎症が脳梗塞後の再発リスクや回復の遅れに影響を与えることが知られています。この記事では、脳梗塞後の全身性炎症を改善するための3つのポイント、つまり「食事」「運動」「電磁波」に焦点を当て、これらがどのように炎症を抑制し、回復を促進するかを解説します。

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1. 脳梗塞の方へ 慢性炎症と食事

食事は慢性炎症を管理する上で極めて重要な要素です。特に、抗炎症作用のある食品を積極的に摂取することが、脳卒中後の炎症を抑制し、再発リスクを低減する効果があります。研究によれば、地中海式ダイエットは、抗酸化物質やオメガ3脂肪酸が豊富で、心血管疾患のリスクを減少させ、全身の炎症レベルを下げる効果があるとされています【1】。

特に、魚(特にサーモンやマグロなどの脂肪分の多い魚)に含まれるオメガ3脂肪酸は、炎症性サイトカインの生成を抑制し、全身の炎症反応を低減する働きがあります【2】。また、オリーブオイルやナッツ、野菜、果物も抗炎症作用が強く、これらの食品をバランスよく摂取することが脳卒中後の健康管理に役立ちます。一方で、加工食品や過剰な糖分、トランス脂肪酸を多く含む食事は炎症を悪化させるため、避けることが推奨されます【3】。


2. 脳梗塞の方へ 慢性炎症と運動

運動も慢性炎症を抑える効果があることが多くの研究で確認されています。定期的な有酸素運動や筋力トレーニングは、炎症性サイトカインの生成を減少させ、抗炎症性の物質(例:IL-10)を増加させる効果があります【4】。特に、軽度から中等度の運動は、炎症反応を抑制し、全身の免疫機能を向上させることがわかっています。

脳卒中後の患者には、過度な運動は禁物ですが、ウォーキングや軽いエクササイズを定期的に行うことは炎症を管理し、リハビリの効果を最大化するために役立ちます。運動はまた、血糖値や体脂肪率を改善することで、動脈硬化や糖尿病のリスクを下げる効果もあります【5】。このため、無理のない範囲での運動習慣を確立することが重要です。


3. 脳梗塞の方へ 慢性炎症と電磁波

近年、電磁波(特に低周波や高周波の電磁波)が体内の炎症反応に影響を与える可能性が指摘されています。電磁波が細胞レベルで酸化ストレスを引き起こし、DNA損傷や炎症反応を促進することが報告されています【6】。特に、携帯電話やWi-Fiなどの電子機器から発せられる電磁波が慢性炎症に及ぼす影響について、まだ議論は続いていますが、予防的に電磁波への過度な暴露を避けることが推奨されます。

脳卒中後の患者にとって、電磁波への暴露を減らすことが、回復過程での全身性炎症を抑えるために有効である可能性があります。例えば、夜間に携帯電話やWi-Fiルーターをオフにする、電磁波遮断フィルターを使用するなどの対策を取ることで、体への負荷を軽減できるかもしれません【7】。これにより、炎症反応の低減と健康維持に寄与することが期待されます。


終わりに

脳梗塞後の慢性炎症を抑えるためには、食事、運動、そして電磁波に対する注意が重要です。抗炎症効果のある食事を意識し、適度な運動を取り入れることで、全身の炎症レベルを抑制し、回復を促進できます。また、電磁波の影響にも配慮し、生活環境を見直すことが、さらなる健康リスクの低減につながるでしょう。脳梗塞後の生活改善を通じて、再発リスクを減らし、長期的な健康維持を目指しましょう。


【引用文献】

  1. Esposito K, Kastorini CM, Panagiotakos DB, et al. Mediterranean diet and weight loss: meta-analysis of randomized controlled trials. Metab Syndr Relat Disord. 2011;9(1):1-12.
  2. Calder PC. Omega-3 fatty acids and inflammatory processes. Nutrients. 2010;2(3):355-374.
  3. Mozaffarian D, Katan MB, Ascherio A, et al. Trans fatty acids and cardiovascular disease. N Engl J Med. 2006;354(15):1601-1613.
  4. Gleeson M, Bishop NC, Stensel DJ, et al. The anti-inflammatory effects of exercise: mechanisms and implications for the prevention and treatment of disease. Nat Rev Immunol. 2011;11(9):607-615.
  5. Pedersen BK, Saltin B. Evidence for prescribing exercise as therapy in chronic disease. Scand J Med Sci Sports. 2006;16 Suppl 1:3-63.
  6. Hardell L, Carlberg M, Hansson Mild K. Pooled analysis of case-control studies on malignant brain tumours and the use of mobile and cordless phones including living and deceased subjects. Int J Oncol. 2011;38(5):1465-1474.
  7. Sage C, Carpenter DO. Public health implications of wireless technologies. Pathophysiology. 2009;16(2-3):233-246.

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大村 颯太

理学療法士/健康科学修士 京都 脳梗塞 脳出血 自費リハ 脳卒中後の自然に動ける身体づくりをサポートしています。

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