179.脳梗塞後のぶん回し歩行 知覚行為循環とセルフケア
大村 颯太

179.脳梗塞後のぶん回し歩行 知覚行為循環とセルフケア

はじめに

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脳梗塞後の歩行障害の一つである「ぶん回し歩行」は、多くの片麻痺患者に見られる特徴的な歩き方です。リハビリを進めてもなかなか改善しないと感じる方も多いのではないでしょうか。

今回は、ぶん回し歩行の原因の一つとして「知覚行為循環」の低下に着目し、その理解とセルフケアの方法について解説します。

1. 知覚行為循環とは

知覚行為循環とは、知覚(感覚の入力)と行為(運動の出力)が相互に影響し合いながら循環的に機能する仕組みのことです。

私たちは目や耳、皮膚などから環境情報を受け取り(知覚)、それを基に動作を調整し(行為)、さらにその動作によって得られた情報を再び知覚することで、運動の精度を高めています。

この循環が正常に働いていると、適切な感覚入力が行動の調整に活かされ、スムーズで効率的な動きが可能になります。

2. 知覚行為循環とぶん回し歩行

脳卒中後、知覚行為循環が低下すると、動作がぎこちなくなり、適切な運動調整が難しくなります。その結果、歩行時に以下のような問題が起こります。

  • 足の位置や接地の感覚が鈍くなる
  • 身体の重心移動が適切に行えない
  • 不安定な歩行を補うため、脚を大きく外側に振り出す「ぶん回し歩行」が生じる

このように、知覚行為循環の低下が歩行の非効率性や不自然な運動パターンを引き起こす要因の一つとなります。

3. 知覚行為循環セルフケア

知覚行為循環を改善するためには、感覚入力を増やしながら運動を行うことが重要です。具体的には以下のようなセルフケアが有効です。

○原始的な動きを取り入れる

  • 寝返り:全身の連動性を高め、重心移動の感覚を養う。
  • 匍匐前進(ほふくぜんしん):四肢の協調性を向上させ、スムーズな運動を促す。
  • 四つ這い・高這い:腕と足の感覚統合を強化し、歩行の基盤を作る。

※肩の痛みやバランス機能の低下などがある場合は、痛み増大や転倒に注意が必要です。

終わりに

ぶん回し歩行を改善するためには、筋力や可動域だけでなく、知覚行為循環を活性化させることが重要です。日々のセルフケアを通じて、感覚と運動の統合を意識しながらリハビリに取り組んでみましょう。

知覚行為循環を整えることで、より自然で効率的な歩行が可能になります。

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大村 颯太

理学療法士/健康科学修士 京都 脳梗塞 脳出血 自費リハ 脳卒中後の自然に動ける身体づくりをサポートしています。

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